アーシング


最近流行のアーシングをやってみました。車の多くの電子機器はマイナス側を車体に導通(ボディアース)させています。しかし、車体は電気を通すのが目的で造られてはいないので抵抗値が大きくなっています。鋼鉄部分(ボディ)は銅の5〜10倍、鋳鉄部分(エンジン)は50倍以上の抵抗があります。そこで各部にバッテリーのマイナス端子までのパイパスとしてケーブルを新設することにより電気の流れをスムーズにするのが目的です。

アーシングの効果(一般的に)

●エンジン本体にアーシングすれば・・・プラグのスパークが強くなり、高回転での伸びが良くなり、燃費の向上も期待できます。
●ボディーにアーシングをすれば・・・オーディオ類の雑音が消えたり、音質の向上につながります。また、ライトの光量アップやホーンの音量アップにもつながります。
●ATミッションにアーシングすれば・・・シフトチェンジがスムーズになります。●その他、マフラーやインテーク、スロットル等に施すとさらにエンジン性能が向上します。

アーシング材料
カーショップには自動車部品メーカーから多くのアーシングキットが発売されていますが、非常に高価です。4〜6mのキットで1万円前後するものが多いようです。同様のものを自作すれば1千〜2千円程度で出来ます。自作といってもケーブルを適当な長さに切って端子を付けるだけですので非常に簡単です。材料は近所のホームセンター、DIYショップ等でそろいます。
■ケーブル
断面積で 5.5sq, 8sq, 14sq のケーブルを使う人が多いようです。抵抗値を小さくするのが目的ですから、太く短くが基本です。長さは取り付け場所で必然的に決まってきますが、いずれにしてもエンジンルーム内ですからケーブルの太さによって実用上の差が出るほどではありません。
電流容量面も考慮すれば太い方が良いのですが、太いケーブルになるほど取り回しが悪くなりますし価格も高くなります。導線の材質も実用上の差は殆んどありませんので、高級なケーブルを使う必要はないと思います。

私の場合は 8sq のケーブルを使用しました。色は自分の好みで良いでしょう。秋葉原の電線ショップには黒・赤・青・緑・黄・白が\200/mでありましたので、青を10m購入しました。
■圧着端子
ケーブルの太さとバッテーリーやアーシングポイントのボルトのサイズに応じて必要数用意します。ケーブルが8sqで接続ボルトが6φの場合は8-6という丸型端子を使用します。
■熱収縮チューブ
これは端子圧着部の保護(防水や絶縁等)に使用しますが、アーシングの場合は必ずしも必要ありません。マイナスケーブルに利用するのでエンジンルーム内の金属部分に触れても別に構わないからです。でも収縮チューブで処理した方がデザイン上綺麗に仕上がるので今回は使用しました。
■ボルト
アーシング箇所やバッテリーにターミナルを新設する場合に使用します。既存のボルトに共締めする場合は必要ありません。導通性があれば材質による抵抗値はあまり神経質になる必要はありませんが、バッテリー端子に使用する場合はなるべく抵抗値の低いものが無難です。いずれもエンジンルーム内ですから安価なスチール製で十分です。
■タイラップ(結束バンド)
アースケーブルがファンベルト等の駆動部に絡まないようにタイラップで固定します。
ビニールテープでも紐でも構いませんが、何れの場合も耐熱のものを使用しましょう。


施工上の注意点

●作業中は安全の為、バッテリー端子を外してください。

●圧着端子の処理が非常に重要です。どんなに高級なケーブルを使用しても端子の圧着が不十分だったら意味がありません。電工ペンチでカシメて、しっかりと圧着しましょう。一般向けにDIYショップ等で売られている電工ペンチは5.5sqまでのものが多いようです。8sq以上に対応する圧着工具となると非常に高価です。14sq以上になると業務用となり数万円します。専用工具がない場合、とりあえず金槌で潰して中央部をポンチかドライバーで打ち付けてもOKですが、電工ペンチに比べると圧着力が弱く、年度経過により隙間にほこりがたまり接触が悪くなることもあります。
また、ハンダ処理は電工ペンチで圧着するより強度が劣りますし熱にも弱いでしょう。しかし、圧着が不十分で隙間だらけになるよりはハンダで処理したほうがましだと思います。ただし高温になる部分やバッテリー端子にはハンダは使用しないでください。

●ケーブルの長さは適度に余裕をもたせましょう。エンジンは加速時に予想以上に揺れます。ケーブルをピッタリ張りすぎると、切断したり固定箇所の損傷にもつながります。しかし、長すぎると駆動部分と干渉して危険です。たるまず張らずといったところがよいでしょう。

●オルタネータ等の+端子には絶対に接続しないでください。ショートして危険なだけではなく、車が故障します。


基本的には、ケーブルを適当な長さに切断し、バッテリーのマイナス側に接続し、その反対側を各接続場所のボルトに共締めするだけでOKです。
今回のアーシングポイントはとりあえず・・・
1=バルクヘッド ・・・室内のアースをとるには、ここが有効らしい
2・3=エンジンヘッドカバー ・・・中央に8φと右端に6φ(純正プラグコードを結束していた所)の穴がありますが、どちらが良いか分らないので両方接続してみました。
4・5=純正アースポイント ・・・純正アースが見た目にも劣化しているのでこの2箇所に接続
6・7=左右ヘッドライト付近 ・・・写真では見えませんが、ヘッドライト裏側の純正アースに接続しています


バッテリー・ターミナル新設
バッテリーのマイナス端子にターミナルを新設しました。既製品の増設ターミナルを買うと千円以上するので、これも自作しました。

無線機器の自作用に自宅にあった3mm厚の真鍮版を切断し、ボール盤で6φの穴を開けました。アーシング用の穴は5つで、上下に取付けると合計10本のケーブルが接続できます。

もちろん既存の端子に串刺し状態に接続してもOKです。その場合は長めのボルトに交換するだけなので費用は数十円です。

無線アンテナの交流的アースは非常に難しいですが、今回の自動車の直流アーシングは理論や方法は簡単です。問題はアーシングポイントを何処にすれば最も効率が良いかということでしょう。アーシングポイントは車種や年式により異なります。オルタネーターについては賛否両論あるようですが、デトマソの場合、奥のほうにあって手が入らなかったので今回はやめておきました。
そもそも車は鉄の塊ですから従来のボディアースも実用的には決して悪いわけではありません。作業前にテスターで抵抗値を計測してみたところ、各所ともボディアースは良好でした。ただ古い車になると接続部の接触抵抗が大きくなってきますのでアーシングの効果が顕著になるでしょう。
今回はとりあえず、劣化してきた純正アースを強化するのが主目的でしたので、暫らく様子をみてみます。ケーブルが3mほど余りましたので、次回はインジェクションと他のどこか2箇所ぐらいやってみようと思います。

実際の効果は明白に感じるほどではありませんが、エンジンの始動が良くなり、ヘッドライトが明るくなったような気がしました。まあ流行ですから、一応やってみて自己満足といったところでしょうか。
2003年2月







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